営業で詰められるのがしんどい人へ|詰めても数字は上がらないという話

壁の乗り越え方

「で、今月どうすんの?」

この一言が頭から離れなくて、休日も仕事のことを考えてしまう。朝礼が始まる前から気が重い。数字が出ていない自分が悪いのは分かっている。でも、詰められたところで契約が増えるわけでもない。

そういう状態でこの記事にたどり着いた人に向けて書いています。

先に、一番伝えたいことを書きます。

詰められる環境は、営業の「普通」ではありません。

私は自動車ディーラーで6年営業をして、いまは不動産の営業をしています。両方の現場を見てきて、はっきり言えることです。

詰められない営業の現場も、普通にあります

これを最初に書いておきたいと思います。

私がディーラーにいた6年間、詰められることはほとんどありませんでした。 数字が出ていない時期もありましたが、それで人格を否定されるようなことはなかった。

ただし、例外はありました。

いわゆる昭和のスタイルの店長に当たった時期です。このときだけは、販売台数が上がっていないとゴリゴリに詰められました。

つまり、同じ会社、同じブランドでも、店舗が変われば環境がまるで変わるということです。

いま詰められている人に知っておいてほしいのは、ここです。あなたが経験しているそれは、営業という仕事に必ずついてくるものではありません。 たまたま、そういう環境にいるだけです。

そして厄介なことに、店長は選べません。 配属や異動で決まってしまう。自分の努力ではどうにもならない部分です。

「営業がきつい」と言われる話の中には、仕事内容の問題ではなく、たまたま当たった上司の問題が混ざっていることが、かなりあると思っています。

▶ 関連:ディーラー営業はきつい?月3台のノルマと土日出勤のリアルを6年経験者が正直に書く

詰められても、売れるようにはなりません

当たり前の話ですが、確認しておきます。

詰められたから売れるわけではありません。 そして、反抗したから売れるわけでもありません。

詰められている時間は、数字を作る時間ではないからです。その場で何を言われても、何を言い返しても、契約は1件も増えません。

本来、数字が出ていないときに考えるべきなのは「なぜ売れていないのか」です。

でも実際に詰められている場面で交わされるのは、こういう言葉ではないでしょうか。

  • 「今月あと何件?」
  • 「昨日は何してた?」
  • 「本当にやる気ある?」

これは、数字を改善するための時間になっていません。 状況の確認と、感情のぶつけ合いで終わっている。

これは精神論ではなく、単純な事実です。だからこそ、そこに時間と気力を使いすぎるのはもったいない。

詰める側にも、詰めている理由があります

先に断っておくと、詰めることを肯定するつもりは一切ありません。 詰める上司がいなくなることを願っています。

そのうえで、構造の話をします。

店長にも、さらに上から数字を求められる立場があります。数字を背負わされて、上から言われて、それが下に流れてくる。

だからといって、部下を詰めていい理由にはなりません。 そこは切り離して考えてください。

ただ、こうした圧力が上から下へそのまま流れている会社はあります。そして大事なのは、その構造と、自分の価値を混同しないことです。

詰めは、あなたの能力の評価ではなく、上から流れてきた圧力が形を変えたものであることが多い。「自分が悪いから詰められている」という受け取り方から、少し離れてみてください。

なお、店長と話し合えば必ず解決する、とは限りません。構造そのものが上から来ている場合、その場の話し合いでは変わらないこともあります。

自分にできることに集中する

では何をするか。答えはシンプルで、自分にできる範囲のことに注力することです。

影響の輪と関心の輪

有名な考え方に、関心の輪と影響の輪というものがあります。

  • 関心の輪:気になるけれど、自分では変えられないこと
  • 影響の輪:自分の行動で変えられること

店長の性格、会社の評価制度、上から降りてくる目標。これらは関心の輪です。気にはなるけれど、自分では変えられない。

一方で、影響の輪に入るのはこのあたりです。

  • 自分はなぜ売れていないのかを分析する
  • 売れている人と自分は何が違うのかを見る
  • 接触数や提案数を増やすために、何をやめれば活動量が増えるか考える

この輪の中のことを、全力でやる。 それだけです。

厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、営業である以上、数字から逃げ続けることはできません。 数字が出れば、詰められる回数そのものが減っていくのも事実です。

だからこそ、変えられないものに気力を使うより、変えられるものに集中した方がいい。数字が重要であることと、詰められていいことは、まったく別の問題です。

転職も、影響の輪の中にあります

ひとつ付け加えておきます。

「転職する」「営業の種類を変える」も、影響の輪の中の選択肢です。

環境を変えるのは逃げではありません。自分の行動で変えられることの一つです。詰められる環境に耐え続けることだけが選択肢ではない、というのは頭に入れておいてください。

詰められた直後に、何をするか

その場では何も解決しません。ただ、店に戻ってから、あるいは家に帰ってからできることはあります。

① 感情と事実を分ける

まず切り離します。

感情:怒られた。責められた。しんどい。 事実:今月の契約数は何件か。問い合わせ数は何件か。商談数は何件か。

感情はそのまま置いておいていい。でも、手元に残すのは事実の方です。数字は、詰められた内容とは関係なく、ただそこにあります。

② 売れている人と比べる

自分の数字と、売れている人の数字を並べます。

差が出ているのは、接触数なのか、商談数なのか、決定率なのか。ここが分かると、次に何を変えればいいかが具体的になります。

「もっと頑張る」では変わりません。どこを増やすかが分からないと動けないからです。

③ 明日変えることを1つだけ決める

いくつも変えようとすると続きません。1つでいい。

  • 電話をかける数を増やす
  • 聞く内容を変えてみる
  • 売れている人の接客を横で見る

なんでもいいので、明日の自分ができることを1つ決めます。

④ 結果を見て、また調整する

やってみて、変わったか変わらなかったかを見る。変わらなければ別のことを試す。

これを繰り返すだけです。地味ですが、これ以外に道はありません。

売れないときは、とにかく真似をする

具体的な打ち手として、一番効くのはこれだと思っています。

売れている人を、とにかく真似する。

活動方法でも、話し方でも、ジェスチャーでも、なんでもいいです。まずそのまま真似してみる。

オリジナルで活動することも大事です。でも、真似をしてからオリジナルを足していく方が、順番としてはうまくいきます。

理由は単純で、売れている人のやり方には、理由があるからです。 なぜその順番で話すのか、なぜそのタイミングで聞くのか。真似してみると、やってみて初めて分かることが出てきます。

そして真似を続けているうちに、自分に合う部分と合わない部分が見えてきます。 そこを調整していくと、借り物ではない自分の型ができていく。

売れない時期に「自分のやり方」にこだわり続けるのが、一番しんどいパターンです。

抜け出せる人と、沼にハマる人の違い

詰められている同僚や後輩を、何人も見てきました。そこから抜けていく人と、どんどん沈んでいく人がいます。

違いは、はっきりしていました。

愚痴が悪いわけではありません

先に書いておきますが、愚痴を言うことが悪いとは思いません。 しんどいときに口に出すのは当然ですし、それで少し楽になるならそれでいい。

問題は、そこから先です。

抜け出せた人

現状を変えたい、なんとか売れるようになりたいと考えている人は、自分の行動や言動にメスを入れます。

やり方を変えてみる。人に聞いてみる。順番を変えてみる。とにかく何かを変えようとする。そして、変えたことの結果を見て、また調整する。

沼にハマってしまった人

一方で、他責の方向に固まってしまった人は、過去や周りの人を変えようとしてしまいます。

店長が悪い。会社が悪い。あのお客様がおかしかった。配属が最悪だった。

言っていることが間違っているとは限りません。実際、環境が悪いことは普通にあります。ただ、そこに向かっても状況は変わらない。 変えられないものに向かい続けるうちに、少しずつ自信がなくなっていく。そして沈んでいく。

そういう場面を、何度か見てきました。

これは説教ではありません。構造の話です。 変えられないものに向き合い続けると消耗するというだけの、単純な仕組みです。

その詰めは、指導なのかパワハラなのか

線引きを知っておくのも大事だと思うので、書いておきます。

厚生労働省は、職場のパワーハラスメントを次の3つの要素をすべて満たすものと定義しています。

  1. 職場において行われる、優越的な関係を背景とした言動であること
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
  3. それによって労働者の就業環境が害されること

ポイントは2番目です。客観的に見て、業務上必要で相当な範囲で行われる適正な指示や指導は、パワハラには当たらないとされています。

つまり、「数字について指摘されること」自体は指導の範囲です。一方で、人格を否定する、大勢の前で必要以上に責める、業務と関係のないことまで言われる。このあたりは範囲を超えている可能性があります。

自分が受けているものがどちらなのか、一度冷静に当てはめてみてください。判断に迷う場合は、社内の相談窓口や、各都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーに相談するという方法もあります。

そして、やり取りは記録に残しておいてください。 日付、場所、言われた内容。相談する段階になったときに、記憶だけでは扱いにくいからです。

それでも限界だと感じたら

ここまで、環境の中でできることを書いてきました。

そのうえで、はっきり書いておきます。

耐えることが正解とは限りません。

体調に出ている、休日も回復しない、朝に動けない。そういう状態なら、環境を変えることを真剣に考えていいと思います。詰められる環境が当たり前ではない以上、そこに居続ける理由もありません。

そして繰り返しますが、環境を変えるのも影響の輪の中の行動です。

もし「そもそも自分は営業に向いていないのかもしれない」と感じているなら、それが営業そのものの話なのか、いまいる環境の話なのかを分けて考えてみてください。同じ営業でも、種類が変われば必要な力はまるで変わります。

▶ 「営業向いてない」と感じる人へ|営業の種類を変えたら結果が変わるかもしれない

まとめ

最後にもう一度書きますが、詰めることを肯定するつもりはありません。 詰められる環境も、詰める上司も、なくなってほしいと思っています。

そのうえで、万が一そういう環境に当たってしまったときのために、頭の片隅に置いておいてほしいことをまとめます。

  • 詰められる環境は、営業の普通ではない。詰めない現場も普通にある
  • 詰められても、反抗しても、売れるようにはならない
  • 店長にも上から圧力がある。構造の問題であって、あなたの能力の評価ではない
  • 変えられないものではなく、変えられることに集中する
  • 売れないときは、売れている人をとにかく真似する
  • 沈んでいくのは、他責のまま変えられないものに向かい続けたとき
  • 環境を変えることも、自分にできる行動のひとつ

数字が出ていない時期は、本当にしんどいです。ただ、その状態がずっと続くわけでもありません。

いまは少し休んで、明日できることを一つだけ決めてみてください。

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