「ディーラー営業 きつい」で検索してこの記事にたどり着いた人、あるいはこれから就職・転職を考えている人に向けて書いています。
私は自動車ディーラーで6年間、営業をしていました。いまは不動産の営業をしています。つまり、辞めた側の人間です。
だからこそ、在職中には書けないことも書けます。ノルマの具体的な数字も、土日出勤の実態も、店長によって環境がまるで変わることも。
ただ、この記事は「ディーラー営業は地獄だからやめとけ」という話ではありません。実際、私は6年間続けましたし、いまでも良い仕事だったと思っています。
きついところと、良かったところ。両方をそのまま書きます。
なお、以下はすべて私が経験した現場での話です。ディーラーはメーカー・販売会社・店舗によって制度も雰囲気も違うので、あくまで一例として読んでください。

ディーラー営業の仕事内容|1日の流れ
まず、何をやっている仕事なのかをそのまま書きます。
朝:出社から朝礼、そして店長との打ち合わせ
出社は8時から9時の間が多いと思います。
時間になると朝礼が始まります。点呼をして、それぞれの目標の進捗を共有します。ここで共有するのは営業だけではありません。工場(サービス)側の進捗も一緒に確認します。
そして共有するのは販売台数だけではありません。当然ながら利益が出てこそ商売なので、利益の進捗も同時に確認します。ここは意外と知られていない部分かもしれません。
朝礼が終わると、開店準備をしながら店長・副店長とその日のスケジュールを共有します。
この打ち合わせで一番重点を置くのが、「今日来店するお客様と、何を話し、何を提案するのか」です。
- 買い替えの提案なのか
- 自動車保険の入れ替え提案なのか
- 車の査定を出すのか
その日のゴールはお客様ごとに違います。それを事前に一つずつ詰めておきます。

日中:来店対応が最優先、空いた時間で攻める
日中の動きは、来店のお客様が最優先です。
点検で来店予定のお客様がいれば、店で待機して必ず面着します。そこで会話を重ねる。この積み重ねが後の商談につながります。
そして、来店の合間の空いた時間で次の3つを回します。
- テルコール:点検の来店を促す電話
- 法人訪問:挨拶と、増車・入れ替えの提案
- 個人宅訪問:電話がなかなかつながらないお客様のところへ直接
来店や訪問の中で、お客様が買い替えに興味を示したら、そこで試乗の予約を取ります。気になっている車の試乗車がその日にあればその場で、なければ別日に用意して約束します。
こうして見込み客を増やし、試乗、商談を経て受注につながる。
毎日これの繰り返しです。

ディーラー営業のノルマの実態|月3台という数字
ここが一番知りたい部分だと思うので、そのまま書きます。私がいた環境での販売台数の目標はこうでした。
| 立場 | 月間の販売目標 |
|---|---|
| 新卒〜2年目 | 月3台以上 |
| 3年目〜課長 | 月5台以上 |
| 課長以上 | 月7台以上 |
そして、台数だけではありません。
1台あたりの目標利益は、だいたい40万円。
つまり、ただ売ればいいわけではなく、利益を確保したうえで台数を積む必要があります。値引きで台数を取っても評価されない、という構造です。
これを見て「きつそう」と感じるか、「意外といけそう」と感じるかは人によると思います。ただ、この数字が毎月リセットされて、また1日から積み上げ直しになる。そこは頭に入れておいた方がいいです。
「きつい」と言われる3つの理由
理由1:土日はほぼ出勤になる
個人のお客様を相手にする商売(BtoC)なので、これは構造的に避けられません。
お客様は土日休みの方が多い。だから来店も土日に集中します。必然的に、営業も土日出勤になります。
まったく休めないわけではありません。ただ、家族がいる人にとっては、土日に休みを取りづらいのは事実です。ここは就職前に理解しておいた方がいいポイントだと思います。

理由2:売れないと、そのまま給料に響く
私がいた環境では、いわゆる「詰め」は少ない方でした。ただ、それとは別の意味できついです。
成果が給料に直結するからです。
売れない月は、そのまま収入が下がります。特に何も分からない新人の頃、売れない時期が続くと、精神的にはかなりきつい。誰かに怒られるからしんどいのではなく、数字が出ないこと自体が自分に返ってくるからしんどいわけです。
この構造は、次に書く「良かったこと」の裏返しでもあります。
理由3:店長は選べない
正直に書きます。ここが一番大きいかもしれません。
上で「詰められることはあまりなかった」と書きましたが、例外がありました。
いわゆる昭和のスタイルの店長に当たったことがあります。この店長のときだけは、販売台数が上がっていないとゴリゴリに詰められる時期がありました。
時代的にそういう人は減っていくと思います。ただ、表に出さないだけで中身は変わっていないケースもあります。
そして厄介なのは、店長は選べないということです。同じ会社、同じブランドでも、店舗が変われば環境がまるで変わる。配属や異動でどうにでもなってしまう。
「ディーラー営業がきつい」という話の中には、仕事内容の問題ではなく、たまたま当たった上司の問題が混ざっていることがかなりあると思っています。

ディーラーの3月が忙しい本当の理由
「ディーラーは3月が地獄」とよく言われます。これは本当です。ただ、理由は多くの人が思っているのとは少し違います。
まず前提として、繁忙期は1月から4月です。ただし忙しくなるのは、どちらかというと工場(サービス)側です。営業の販売台数が特別に跳ね上がるわけではありません。
では、なぜ3月がきついのか。理由はこうです。
3月が決算の会社が多いから。
これによって何が起きるか。
- 3月中に登録(車検証を仕上げる)必要がある
- 3月中に納車する必要がある
- その影響で、3月に車検が切れるお客様が爆増する
つまり、販売の動き自体は普段と大きくは変わらないのに、登録の事務作業と、車検のお客様への誘致電話が普段の倍以上になります。
売る量が増えるのではなく、売った後の処理と、車検の誘致が積み上がる。だから3月はきつい。
これがリアルなところです。

それでもディーラー営業をやってよかったこと
ここまできつい話を書いてきましたが、良かったこともちゃんと書きます。というより、これがなければ6年も続けていません。
やった分がそのまま給料になる
「売れないと給料に響く」と書きましたが、これは裏を返せばやればやるだけ反映されるということです。
年功序列でどれだけ頑張っても給料が変わらない仕事より、こっちの方がモチベーションを保ちやすい人はいます。私はそうでした。成果が数字で見えて、それが収入に返ってくる構造は、やる気のある人にとっては大きな魅力です。

「新車の納車」に立ち会える
そして、これに尽きます。
新車を買うという経験は、多くの人にとって生涯で数回しかありません。
その数少ないイベントに、担当として立ち会える。納車の日、お客様が新しい車を前にして喜んでいる姿を、すぐ横で見られる。
正直、この瞬間のためにやっていたところがあります。ディーラー営業をやっていて一番よかったと思えるのは、間違いなくここです。
それでも「辞めたい」と思ったときに
ここまで読んで、「やっぱり自分には合わないかもしれない」と感じた人もいるかもしれません。
ひとつだけ、伝えておきたいことがあります。
私はディーラーを辞めましたが、営業そのものは辞めていません。いまは不動産の営業をしています。
そして実際に移ってみて分かったのは、同じ「個人向け・有形商材の営業」でも、まるで別の仕事だったということです。ディーラーは既存のお客様と年単位で関係を育てる仕事でしたが、いまは9割が初対面のお客様。求められるものがまったく違いました。

つまり、いま「きつい」と感じているものの正体が、
- 営業という仕事そのものなのか
- ディーラーという営業スタイルなのか
- あるいはたまたま当たった上司や店舗環境なのか
ここを切り分けないまま辞めると、次でも同じことを繰り返します。逆に、切り分けができれば選択肢はかなり広がります。
その見極め方については、こちらの記事で詳しく書いています。
▶ 「営業向いてない」と感じる人へ|営業の種類を変えたら結果が変わるかもしれない
よくある質問
Q.ディーラー営業の年収はどれくらい?
A.成果に応じた歩合の割合が大きいため、同じ会社の同じ年次でも人によって差が出ます。売れた月と売れない月で収入が変わるのも特徴です。具体的な水準はメーカーや販売会社によってかなり違うので、気になる場合は求人票の給与欄で「基本給」と「インセンティブ」の内訳を必ず確認してください。基本給の割合が低いほど、月ごとの振れ幅は大きくなります。

Q.ディーラー営業に向いている人は?
A.私が見てきた範囲では、次のようなタイプの人が続いていました。
- 成果が数字と収入に直結する環境を、しんどいと感じずに楽しめる人
- 一度の商談で決めるより、時間をかけて関係を育てるのが得意な人
- 車そのものが好きで、商品の話を苦にしない人
- 土日出勤を含む働き方に、生活面で無理がない人
逆に、収入が安定していないと落ち着かない人や、家族との予定で土日を確保したい人には、構造的に厳しい部分があります。
Q.ディーラー営業から転職するなら、何が有利になりますか?
A.お客様の希望や潜在的なニーズを引き出す力は、業界が変わっても持ち越せます。私自身、不動産の営業に移ってから一番役に立ったのがここでした。
加えて、既存のお客様と年単位で関係を積み上げてきた経験は、ルート営業や既存顧客の深耕がメインの仕事で評価されやすいと感じます。逆に、初対面から短期で決める営業に移ると、同じ武器が通用しない場面も出てきます。

未経験でもディーラー営業になれますか?
未経験可の求人は珍しくありません。ただ、入ってから覚えることは想像以上に多いです。車種ごとの装備や仕様、下取りの査定、自動車保険、ローンや残価設定の仕組み、登録に関わる書類。車が好きかどうかより、覚えることを苦にしないかどうかの方が効いてくる印象です。
まとめ
ディーラー営業のリアルを、私の経験の範囲でそのまま書きました。
きついところ
- 土日はほぼ出勤になる
- 売れない月は収入に直結し、精神的にくる
- 店長は選べず、当たり外れで環境が大きく変わる
- 3月は登録業務と車検誘致で普段の倍以上の忙しさ
良かったところ
- やった分がそのまま給料に反映される
- 新車の納車という、お客様の人生の数少ないイベントに立ち会える
繰り返しになりますが、これはすべて私がいた環境での話です。メーカーや販売会社、店舗によって状況は変わります。
そのうえで言えるのは、「ディーラー営業がきつい」の中身は人によってバラバラだということ。仕事内容がきついのか、働き方がきついのか、環境がきついのか。ここを分けて考えるだけで、次にやるべきことが見えてきます。
この記事が、その整理の役に立てば嬉しいです。


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