賃貸営業はきつい?ディーラー営業6年→賃貸営業に転職して分かったリアル

営業の種類と適性

「賃貸営業って、実際きついの?」 「ノルマは厳しい?」 「休みはちゃんと取れる?」 「繁忙期はどれくらい忙しい?」 「未経験でもやっていける?」

転職先として賃貸営業を検討していると、このあたりが気になると思います。

私は自動車ディーラーで6年営業をしたあと、賃貸不動産の営業に移りました。つまり、別の営業を経験してから入ってきた人間です。

だから、業界の中しか知らない人とは少し違う見え方をしています。ディーラーと比べて明確に楽になった部分もありましたし、逆にここは想像以上だったという部分もありました。

その両方を、実際に働いて感じたまま書きます。

なお以下は、私が見てきた範囲での話です。会社の規模や、管理をやっているか仲介専業かによって働き方はかなり変わるので、一例として読んでください。

賃貸営業の仕事内容|1日の流れ

始業が遅いのには理由がある

営業開始は、9時から10時の店が多いと思います。

ディーラー時代は8時から9時の間に出社していたので、最初は少し不思議でした。理由ははっきりしています。

仕事終わりの夕方から夜しか内見できないお客様が多いからです。

会社員のお客様が動けるのは、平日なら退勤後。その時間帯に対応するために、始業が後ろにずれています。裏を返せば、夜の営業時間は長くなりやすいということでもあります。

主な業務はこの6つ

始業後は掃除などの開店準備を済ませて、仕事に入ります。主な業務はこのあたりです。

  • メール、LINEの返信
  • 接客
  • 内見
  • 契約説明
  • 管理会社との連絡(空室確認、契約手続きなど)
  • 募集中物件の写真撮り、物件情報のメンテナンス

接客が軸で、空いた時間に返信や写真撮り、情報のメンテナンスを差し込んでいくイメージです。

イメージしやすいように、1日の流れを並べるとこうなります。

時間動き
9:30出社・店舗清掃・メールとLINEの確認
10:00管理会社へ空室確認、内見の段取り
11:00来店接客
12:00内見
14:00休憩
15:00物件の写真撮り・情報メンテナンス
17:00問い合わせ対応、翌日以降の内見準備
18:30仕事終わりのお客様を内見
20:00申し込み・契約関連の処理

もちろん日によって変わりますが、来店と内見を軸に、その隙間で作業を回すという構造は変わりません。

反響から契約までの流れ

接客の入り口は、ネットからの問い合わせや電話予約です。

そこから管理会社に空室を確認して、来店日時を決める。内見日までに、条件に合いそうな別の物件も用意しておく。実際に内見して、気に入った物件があれば申し込み、審査、契約と進みます。

ディーラー時代との一番の違いは、接客するお客様の9割が初対面だということでした。

賃貸営業のノルマはきつい?

見られるのは本数より「金額」

評価の対象は、売上本数と売上金額です。ここは車と似ています。

そして、本数より金額をメインに見られるケースが多いと思います。

これは働き方に直結します。

もし本数だけの評価なら、仲介手数料を無料にして数を取るのが一番早いからです。実際、手数料無料をうたう会社もあります。

でも金額で見られるなら、その手は使えません。だから「手数料を無料にすれば契約が取れる」という安直な考え方にはならない人が多いはずです。どうやって金額を落とさずに決めるかを考えることになります。

ここはディーラー時代の感覚がそのまま活きました。台数だけでなく1台あたりの利益を見られていたのと、構造がまったく同じだからです。

▶ 関連:ディーラー営業6年の経験は転職で活きる?不動産営業に転職して分かった5つのスキル

給与体系は会社によってかなり違う

ここは正直に書きますが、会社差が非常に大きい部分です。

固定給が中心の会社もあれば、固定給とインセンティブを組み合わせた会社もあります。同じ「賃貸営業」でも、月ごとの収入の振れ幅はまったく違います。

求人を見るときは、基本給とインセンティブの内訳を必ず確認してください。基本給の割合が低いほど、繁忙期と閑散期の収入差が大きくなります。賃貸は季節による波がはっきりしている仕事なので、ここは他業界以上に効いてきます。

賃貸営業の繁忙期はいつ?

賃貸営業の働き方を語るうえで、繁忙期の話は避けて通れません。一般的に、大きな繁忙期が年に2回あります。

第1繁忙期:1月〜4月

言わずもがな、入学・卒業・就職・転勤がすべて重なる時期です。ここが一年で最も忙しい時期になります。

第2繁忙期:9月〜10月

意外と知られていないのがこちらです。

転勤や転職で動き出すお客様が増える時期です。場合によっては、10月から家賃のスライドが始まるケースもあります。

第1繁忙期ほどではありませんが、ここもはっきり忙しくなります。

閑散期とのギャップが大きい

つまり、年に2回の山があり、その間に閑散期が挟まるという一年のリズムになります。

この波の大きさは、賃貸営業を選ぶうえでかなり重要なポイントです。繁忙期に一気に働いて閑散期に休むリズムが合う人にはいい仕事ですが、年間を通して一定のペースで働きたい人にはしんどい構造だと思います。

なお、繁忙期の動き方は地域や客層によっても変わります。学生の多いエリアと、転勤者中心のエリアではピークの出方が違うので、そこは働く場所によると考えてください。

賃貸営業の休日は?土日は休める?

定休日は火曜日と水曜日が多いです。土日は基本的に出勤になります。

ここまではディーラーと同じ構造なのですが、賃貸営業には特有の事情があります。

第1繁忙期は定休日がなくなることもある

1月〜4月は、定休日なしの完全シフト制になる会社も少なくありません。

理由は2つあります。

1つ目は、同じ物件を複数の会社で取り合うから。 賃貸仲介は、同じ物件を他社も紹介できます。だからスピードで負けると、そのまま失注します。

2つ目は、定休日に部屋探しに来たお客様を取り逃がさないため。 店が閉まっていれば、お客様は普通に他店へ行きます。

年間休日だけでは判断しにくい

そのため休日日数も固定ではなく、繁忙期は少なく、閑散期に多く取る形になる会社が多いと思います。

つまり、求人票の年間休日数だけを見て判断すると、実際の働き方とはギャップが出ます。「いつ休めるか」まで確認しないと意味がないというのが、この仕事の特徴です。

賃貸営業で一番きついこと

いろいろありますが、私が一番きついと感じているのはこれです。

急かすつもりがないのに、急かしていると受け取られてしまうこと。

「早く決めてほしい」と「納得して決めてほしい」のジレンマ

条件のいい物件、きれいな部屋には、どうしても問い合わせが集中します。本当に、すぐ埋まります。

だから「すぐ埋まってしまう可能性があるので、申し込みだけ入れておきませんか」とお伝えします。これは事実を伝えているだけなのですが、多くのお客様は「急かされている」と感じます。

よくあるのは、こういう流れです。

「この物件が第一希望ですが、他も見てから決めたいです」 「もちろん大丈夫です。ただ、この物件は問い合わせが多いので、今日中に申し込みが入る可能性はあります」 ——翌日、申し込み済み

お客様からすれば、営業に急かされて焦って決めたくないのは当然です。その気持ちはよく分かります。でも、待っていると本当になくなる。

そして厄介なのは、こちらは急かしたいわけではないということです。むしろ納得して決めてほしい。ただ、納得するための時間を取ると、その物件が消える可能性がある。

この事実を、営業トークに聞こえない形でどう伝えるか。 ここをうまくやれる人が、契約を多く取れる人だと思っています。

正直、いまだに毎回考えている部分です。

それでも賃貸営業をやってよかったこと

契約と鍵の引き渡しでもらう言葉

これに尽きます。

契約のとき、そして鍵をお渡しするときにいただく感謝の言葉。ここが一番のやりがいです。

面白いもので、ディーラー時代は新車の納車が同じ位置にありました。生涯で数回しかない買い物に立ち会って、喜んでいる姿を横で見る。あの瞬間のためにやっていたところがあります。

車も部屋も、人生の節目に関わる商品です。売るものはまったく違うのに、営業として嬉しい瞬間は驚くほど似ていました。

買う気のない人に提案しなくていい

これはディーラーから移って、明確に楽になった部分です。

賃貸営業に来るお客様は、すでに部屋を探しています。 つまり、購入意欲のない人に興味を持ってもらうところから始める必要がありません。

ディーラー時代は、まだ買い替えを考えていないお客様に、まず興味を持っていただくところからでした。そこがないのは、間違いなく負担が減った部分です。

代わりに難しいのは、初対面のお客様が思い描いている部屋を、短い時間で探り当てること。力を注ぐ場所が変わった、という感覚が近いです。

賃貸営業は未経験でもできる?

結論から言うと、未経験からでも始められます。 私自身、不動産は未経験で入りました。

新卒や中途で入りたての人は、まずこのあたりの仕事が中心になります。

  • 募集中物件の写真撮り
  • 物件情報のメンテナンス
  • 管理会社へ鍵や契約書を取りに行く
  • 先輩の接客への同行

いきなり接客に立つことは少ないと思います。物件を見て回り、情報を触るうちに、扱っているものが頭に入っていく構造になっています。

ただし、覚えることは少なくありません。物件の設備や条件、初期費用の内訳、審査の流れ、契約書類。物件が好きかどうかより、覚えることを苦にしないかどうかの方が効いてくる印象です。

ディーラー営業と賃貸営業を比較

同じ「個人向け・有形商材の営業」ですが、中身はかなり違いました。

比較項目ディーラー営業賃貸営業
始業8〜9時9〜10時(夜の内見対応のため)
顧客既存リストが中心初対面が中心
関係づくり中長期(年単位)短期(数日〜数週間)
顧客の状態購入検討前の人にも提案すでに部屋を探している
繁忙期3月前後1〜4月、9〜10月の年2回
休日平日中心火・水が多い(繁忙期はなくなることも)
主な難しさ興味を持ってもらうこと希望条件を短時間で把握すること

同じカテゴリの営業でも、必要な力はここまで変わります。

賃貸営業に向いている人・向いていない人

意外かもしれませんが、「話が上手い人」の仕事ではありません

賃貸営業と聞くと、トークで押し切るイメージを持つ人がいるかもしれません。実際は逆です。

「この人が本当に欲しい条件は何なのか」を聞き出せる人の方が、圧倒的に強いです。

お客様は「駅から10分以内、2LDK、家賃○万円まで」と条件を挙げてくださいます。でも、その条件どおりの物件を出しても決まらないことがよくあります。本当に譲れないのは日当たりだったり、収納だったり、周辺環境だったりする。

口に出された条件の裏にある優先順位を探り当てる。 ここが賃貸営業の中心です。

向いている可能性がある人

  • 初対面の人と短時間で打ち解けるのが苦ではない
  • 話すことより、聞いて引き出すことが得意
  • 自分から電話をかけるより、相談を受けて提案する方が好き
  • 繁忙期に一気に働いて、閑散期に休むリズムが合っている

しんどく感じるかもしれない人

  • じっくり関係を育ててから提案したい
  • 土日や繁忙期に休みを取りたい事情がある
  • スピード感のある判断を求められるのが苦手
  • 収入が月ごとに変動するのが不安

特にスピードの点は大きいです。賃貸は物件が動くスピードが速いので、じっくり進める仕事とは根本的にリズムが違います。

よくある質問

賃貸営業に宅建の資格は必要ですか?

営業として働くだけなら、資格がなくても可能です。

ただし、契約時の重要事項説明は宅地建物取引士でなければ行えません。そのため、資格がないと契約の最後の場面を有資格者に代わってもらうことになります。

会社によっては入社後の取得を推奨・支援しているところもあります。長く続けるつもりなら、いずれ取ることになると考えておいた方が現実的です。

ノルマを達成できないとどうなりますか?

会社によります。給与体系がインセンティブ寄りなら、そのまま収入に反映されます。

ただ、賃貸は季節による波が非常に大きい仕事です。閑散期に数字が落ちるのは構造上避けられないので、単月ではなく年間で見られることも多いと思います。求人を見るときは、評価の期間が月単位なのか、それより長いスパンなのかを確認しておくと安心です。

賃貸営業から次に転職するとしたら、どこが有利ですか?

初対面の相手から短時間で希望を引き出す力は、そのまま持ち越せます。反響型の営業や、来店型の接客業ならどこでも活きるはずです。

一方で、長期の関係を育てるタイプの営業に移ると、この力を使う場面が減ります。私がディーラーから賃貸に移ったときに、逆方向で同じことが起きました。次にどこへ行くかは、自分が伸ばしたい力から逆算するのがいいと思います。

ディーラー営業と賃貸営業、どちらがきついですか?

正直、どちらがきついかは人によって変わります。

私の場合、買う気のない人に興味を持ってもらう工程がなくなったのは楽でした。一方で、繁忙期の休みづらさと、判断のスピードを常に求められる点はきつくなりました。

「どちらが楽か」ではなく、どのきつさなら自分は耐えられるかで考えた方が、失敗が少ないと思います。

結論|賃貸営業はきつい。でも「営業が嫌い」とは限らない

最後に、この記事のタイトルに答えます。

賃貸営業は、きついです。 土日は基本的に出勤ですし、繁忙期は定休日がなくなることもある。急かしたくないのに急かしていると思われるジレンマも、毎回あります。

そのうえで私の実感を書くと、ディーラー営業と比べて楽になった部分と、きつくなった部分がはっきり分かれました。

楽になったこと

  • 買う気のない人に興味を持ってもらう工程がない
  • 成果までの距離が短く、結果がすぐ返ってくる

きつくなったこと

  • 繁忙期の休みの取りづらさ
  • 短時間で初対面の相手を理解しなければならない
  • 判断のスピードが常に求められる

つまり、「営業がきつい」の中身は、業界によって別物だということです。

もしいま「営業が向いていないかもしれない」と感じているなら、それが営業そのものの話なのか、いまやっている営業の型の話なのかを、一度分けて考えてみてください。私はディーラーを辞めましたが、営業そのものは辞めていません。

▶ 「営業向いてない」と感じる人へ|営業の種類を変えたら結果が変わるかもしれない

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